認知機能低下の予防に正しい食生活は大切です。「人は食で決まる」という海外の古いことわざにもあるように、毎日の食事は身体の健康を維持するだけではなく、認知症予防にも大きく関係しています。今回は、認知機能低下の予防が期待される科学的根拠に基づいた MIND (マインド) 食という食事法の話をしましょう。 MIND 食は、栄養学の研究者が地中海式食事法 (Mediterranean diet) と、DASH (高血圧改善のための食事法アプローチ) の 2 つを組み合わせた食事法のことです。

MIND 食は認知症の予防に効果的とされています。研究ではアルツハイマー病に発展するリスクについて、MIND 食を厳密に実施した人はアルツハイマー病に発展するリスクが低下し、適度に行った人でも低下したとの結果が得られたそうです。特に記憶力などの機能に効果的との研究データがあります。

MIND 食は比較的簡単に実施できる食事法です。脳の健康を保つのにオススメの食材 10 品目と、控えたい 5 項目で、これらを意識して提示された頻度で摂取するだけです。カロリー制限や厳しい食事制限はありません。

お薦めの食材には、葉もの野菜やその他の野菜、ナッツ類、魚、鶏肉、ベリー類が含まれており、オリーブオイルを積極的に摂取することを推奨しています。

禁止ではないものの、控えたい食材は、牛肉や豚肉など週 4 回以下、甘いお菓子は週 5 回以下、チーズやファストフードなどは週 1 回以下にすることを推奨しています。 また、バターは 1 日小さじ 1 杯以下にしましょう。

食生活を見直す場合、一度に大きく変えようとする人がいますが、脳の健康のために長く続けていくためには、このように少しづつ効果的な食生活に切り替えていくのはどうでしょうか。

  1. 控えるべき食材の摂取量を減らしてみる。今までお菓子を週 6 回食べていた場合は、1 回ガマンして週 5 回にしてみる

  2. オススメ食材を食事に加えてみる。ほうれん草などの葉もの野菜を週 2 回、食事に加えてみる

  3. 控えたい食材の 1 つをオススメ食材に代えてみる。ケーキの代わりに果物を、唐揚げの代わりに照り焼きにしたり、バターではなくオリーブオイルを使用するなど、いろいろ工夫してみましょう。