フランスの哲学者サルトルは「地獄とは他人のことだ」という言葉を残していますが、脳科学の観点からは違う答えが出ています。映画などで、囚人が懲罰として独房に入れられるシーンを目にしたことがあると思います。最近の研究から、「心身にまったく問題のない健康な人間を社会的に隔離すると、やがて肉体的・精神的に崩壊し、場合によっては死に至る」ことがわかっています。認知機能も、さまざまな人たちとの日々のやり取りによって健康が保たれます。
孤独にならないようにする方法の 1 つが、地域のコミュニティーセンターなどの活動に参加することです。陶芸教室、手編み教室、ダンス サークル、水泳のレッスン、さまざまな講演、演芸、ボランティア活動、読み聞かせなど、さまざまな人と直接やり取りできる活動の中から、自分が好きな活動に参加してみましょう。他の人たちとのコミュニケーションとコミュニティーでの活動の両方が、脳の健康に大きな効果をもたらします。
たとえばダンスであれば、ズンバ、ステップ、社交ダンスなどさまざまなレッスンがあるでしょう。仲間とダンスを学び、ステップを覚え、身体を動かすことは、認知機能の健康を保つための 6 つの要素のうちの 3 つ、「社会的つながり」と「運動」と「脳活」に大きな効果を発揮します。ボランティア活動も高い効果をもたらします。先頃アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学が行った研究結果から、困っている人を助けることで脳機能が活性化することが明らかになっています。陶芸教室や手編み教室など、まったく新しいことにチャレンジすることも認知機能の大幅な活性化につながる可能性があります。