サザエなどの巻貝の渦巻き模様からDNAのらせん構造まで、私たちの周りにはさまざまなパターンがあふれています。 自然は、最高の芸術家であると同時に最高の数学者です。ヒョウ柄模様やクラゲの脈動のリズムなど、あらゆる部分に芸術性と科学を見ることができます。
自然が生み出したパターンはどれもすばらしいものですが、パターンを作り出せるのは自然だけではありません。 電車の時刻表 (ダイヤ) のパターンはどうでしょう? スーパーに並んでいる商品の値段は?
私たちの周りにはさまざまなモノがあふれていて、たとえすばらしいパターンがあったとしても、普段の生活の中で見過ごしてしまうのも仕方のないことです。しかし、日々の生活でこのようなパターンに注意して見つけ出すことは、認知機能のトレーニングになります。
今までに何かパターンに気づいたとして、それをメモしたことはありますか? 次に本や雑誌を読んだとき、同じ文字の繰り返しに下線を引いたり、関連するテーマを線で結んだり、購入していない号を丸で囲んだりしてみてください。今度は、同じことを電車や飛行機の時刻表でしてみてください。よく行くカフェやファミレスで、メニューの中に言葉と数字の両方の関連性を見つけることもできるかもしれません。
このようにパターンを発見する課題を、リーズニング (推論・理論の道筋) トレーニングと呼びます。「ACTIVE (独立した健康な高齢者のための高度な認知機能トレーニング)」 と呼ばれる認知トレーニングについて行われたある研究では、普段の生活のさまざまな場面でパターンを見つけるように被験者にトレーニングを行い、個人およびグループの両方でパターンを発見する課題に取り組みました。この研究では、リーズニングトレーニングが認知機能低下の発症から脳を守る要因の 1 つになるとともに、その効果は最初のトレーニングから最長で 5 年間続くと結論づけています。