駅や街を歩いていると、驚くほど速いスピードで歩いている人がいるかと思えば、のんびり歩いている人の後ろについてしまって前に進めなくなってしまうようなこともあります。自分が歩くペースを乱されるのは気分のいいものではありませんが、歩く速度は身体的および認知機能の健全性を映す鏡でもあります。

実際に、歩行速度 を使って認知機能の健全性と低下リスクについての情報を得ることができます。たとえば 歩行速度に関するある調査では、歩く速度が遅い人は脳の容量が小さく大脳皮質も薄いという結果が得られています。 また、これらの被験者の脳には認知症危険因子の兆候も見られました。 さらに、これらの被験者は記憶力、論理的思考力、処理速度のテストにおいても他よりも低い点数でした。

もし、あなたの歩く速度が遅いとしても心配は要りません。全体的な基礎体力を高めれば、速く歩くことができるようになります。基礎体力の向上とアルツハイマー病のリスク軽減の関係について 65 歳以上の被験者 1,740 人を対象に行われたある調査では、元々歩行速度が遅い被験者群に週 3 回の運動習慣を課したところ、基礎体力が徐々に向上するのに伴ってアルツハイマー病のリスクが低下しました。

運動を始めるのに、ジムに通ったりトレーニング マシンを使ったりする必要などありません。家の近所をゆっくりと歩いたり、リビングで好きな曲を聴きながら踊ったり、壁を使った負荷の軽い腕立て伏せをしたりするだけでいいのです。 このようにして運動習慣を身に付ければ、やがて基礎体力が向上し、1 回 30 分、連続で運動することができるようになるでしょう。